BOOK(企画2)
□SHOT!!
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「おーっ、賑わってんなぁ」
キッドは辺りを物珍しそうに見渡して、口笛をひゅう、と吹いた。
車の通行を規制して、歩行者が自由に行き来する道路。
その両側には露店がずらりと並び、空腹を刺激する匂いが漂う。
日本の夏、それも平成の時代の祭りは、人々の活気に満ちている。
「キッド、待ってよ!」
ドラミは浴衣の裾を押さえながら、恋人の背中を追いかけた。
浴衣はキッドのリクエストだ。
白地に、赤や青、紫の朝顔が咲いている。
清楚さのある柄を引き締めるのは、鮮やかな真紅の帯だ。
乙女心の気合いはじゅうぶん。
なのに、リクエストした本人はそれを忘れてるのか、誉め言葉の一つもない。
――頑張ったのにな……。
「お!あれなんだ?」
キッドは何やら気になるものを見つけたのか、露店の一つに一直線に向かっていく。
ドラミは、頬を膨らませるのと唇を尖らせるのを同時にやって、キッドの背中を恨めしげに見つめた。
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