ある日の西浦

□お兄ちゃんだけど
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今日だけは、いいよね?


お兄ちゃんだけど。







キンッ。



「ナイバッチー!!」

スリーベースヒット。


それでも。


お母さんは。






「…あ。そういえば。…タカー。お母さんさ、明日の試合応援来れないから。」

「なんでー?」

「シュンちゃんが「分かった。あっそー。」

「タカ!!人の話は最後まで聞きなさい!!」

いーんだよ。
聞かなくても。
だって、聞かなくても分かるもん。

明日は。


「明日から、シュンもとうとう、リトルかぁー。早いなぁ。」

「おとうさん、ぼく、にぃちゃんに負けないくらい、がんばるからね!」

「んもう!シュンちゃん?明日だけだからね。お父さんもお母さんも付いていくのは。」

シュンが一人じゃ心細いってんで、二人ともシュンに付いていく事になった。

「……ごちそうさま…」

おれは、ご飯を食べ終わって自分の部屋に戻った。

途中で、お母さんがしっかり寝ろとか言っていた様な気がするけど。
そんな事知ったこっちゃない。

明日は、最後の公式の試合なのに、な。
明日は、強いトコとの試合なのに、な。

…負けるかも、しれないのに、な。
お父さんも、お母さんも、応援、しに来てくれないんだ。

…すねたってしかたない。

ガマンしよう。

…だって…おれは、“お兄ちゃん”なんだもん。







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