ある日の西浦
□ホントはあんまり好きじゃない!
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真っ白な紙に走らせる、真っ黒な液体。
青空だから、でかでかと!堂々と!
よし。こんな感じかな?
「あら、沖くん上手に書けてるわねー!!」
え?本当に?実はテキトーなのにな…
「良いわねー!コレ!!賞が取れるかもよ!!」
またまたぁ。おれ、そんな才能無いのにさぁ。先生ってばそんなオオゲサに…
そう思ってた。ついさっきまでは。
「入賞…?」
「そうよ!おめでとう!凄いわー沖くん!」
嘘ぉ…マジかよ。だからアレ、テキトーだってば。
字だってそんなに上手くないし、習字だってどちらかといえば苦手だし。
なのに…なんでだろう?
ぼんやりと考えてはみたけれど、それほど意味は無かったみたいだ。
「沖くんすごーい!!」
わぁわぁと騒ぐ観衆の声が心地好い。
ホントはなんもしてないんだけどネ!
家に帰ると、お母さんに即刻報告。
「ぅお母さんんん!!!!!」
「ぅおかえりぃい!!どうしたのぉおぉぉ!!!」
我が親ながら、ホラーのような叫び声に泣きそうになった。