ある日の西浦

□背番号2☆この恋はきっと気のせい★
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世の中が何となくピンク色に染まる日。


――2月14日。


別にバレンタインになんか興味はないけど。

「寒…」


急に吹いた北風につい身震いをした。

この時期になると、西広は輝く。
なんか、収入がどーだのとか、売り上げがどーだのとか言っている。

昨日見た時は、「現金払いで!そして一括払いでお願いします!」って言ってたな。


なんのこっちゃ。



「とにかく、部活。」

行かなくちゃ。
昨日モモカンがチョコ配るっつったから、花井は滅茶苦茶張り切ってもう先に行ってしまった。

恐らく一番乗りであろう。


ぼんやり考えていたら、うっかり鞄をぐしゃりと潰して、しまった。と思った。

鞄の中には、篠岡から貰った義理チョコ(恐らく)が。


鞄から取り出してみると、チョコは潰れてはいなかった。

「良かった〜。」


ちょっとほっとした。

よく見ると、それは手作りのトリュフチョコだった。

すげぇ。
女って義理チョコでも手作りすんだ。

俺は素直に感心した。

小腹も減ってることだし、とりあえず一つ摘まんで食べてみた。


甘い。すげぇ。美味い!

篠岡の腕前に感動しつつ、じんわりと味わっていた。

すると、

「…あの!阿部君!!」

…知らない女に話しかけられた。(汗)

「…はい?」

とりあえず、警戒してみる俺。

「…あ、こ、コレ…」

何故か俺の前で箱を開けて中をごそごそしている女。

なんか…恐い。

怖いよ。2月14日の女達。
だってなんか目ぇギラギラしてるし。


「食べて下さい!」


ぼぉっとしていたら、急に異物を口に押し込まれた。
小さい頃よくこうやって、無理矢理薬を飲まされたから実は軽くトラウマだ。


なんっていうか、今パニック状態だ。


俺は、柄にもなくパニクって、どこぞの誰かさんみたいにぐるぐるしていると、







ガッシャーン!!!!






背後で大きな音――ガラスの割れる音がした。









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