西浦流星群

□空に光る
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何で阿部なんだろう。



阿部は、口悪いし、性格悪いし、嫌な奴だし。
栄口とか三橋とは大違いだし。

そうなんだけど、自分でも何でかよく分かんないけど

俺は

阿部の傍を


離れたくない。



隣(ここ)を


誰にも譲りたくない。



なーんだ。俺ってば、実は阿部の事好きなのねー。って気が付いたのは、ごくごく最近だ。


「…オイ、水谷。花井も篠岡も、先に行ったぞ…」


阿部の声で、意識が覚醒した。

「ふぇ?阿部?」

あれ!?もう放課後!?


やっば!モモカンに怒られるぅ!


「阿部!早く行こう!」

「俺はお前ぇを待ってたんだよ!!」


阿部の手を、引っ張りながら走る。


お前ぇを待ってた。


…俺を待ってた。


優しいなぁ…



そっかぁ。

俺、阿部のそーいう優しさが好きなんだ。

文句一つ言わずに、グースカ寝てる俺を待ってた。

怒る事もしないで。



繋いだ手から、体温が伝わる。


阿部の手は、俺のよりも、仄かに温かかった。

空を見上げた。
まるで一枚の絵のように蒼いキャンバスに白い直線が走っていた。

明日は雨かな。なんて、背後で阿部が呟いた。


だけど、俺にはカンケーない!!


だって、だってさ

俺には阿部が居れば、雨でも晴れでもダイジョーブ!!

だって
阿部が居るだけで、俺は無敵になれるんだから!



空に光る


星にだってなれる。君さえ居れば。





そういえば、なんで起こさなかったの?

…だって、お前スゲー幸せそうな顔して寝てたから…起こし損ねた…

…阿部スキッ!








fin







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