幼いキオク
□人魂
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とある夜、俺と水谷はテレビを見てた。
画面の中の人は、ジャグリングを披露していた。
すげぇ。
マラカスみたいなカタチの物体が、人の間をふわふわと行き交うのをぼんやりと見ていた。
「なぁ、阿部ー。」
緊迫した画面の中の空気に似合わない位の間抜けな声に思わずため息が出る。
「何だよバカ。」
俺はテレビに集中した。
芸を披露する人は火の付いたクラブを持った。
先程と同じように人の間をクラブが行き交う。
ふわふわ、ふわふわ。
スゲー。綺麗だ。
「昔の人ってさぁ、人魂の存在ってやつを信じてたんでしょう?」
思わず水谷を見詰めてしまった。
何を言うのか、コイツは。だからなんだと言うのだろうか。
「…知るかよ。」
再び画面を見る。
炎の粒がゆらゆらと燃えていた。
「もしかしてさぁ、昔の人はこれを人魂と思ってたのかなぁ。」
これ。とは、もしかしなくてもこの燃えているクラブの事だろう。
っつうかさぁ、よく考えろよ。
「つーか、その時代にジャグリングねぇだろ。」
テレビを見ると、CMがあっていた。畜生。見逃した。
後ろから、あっ。とか聞こえたけどンなもん無視だ。無視。
今更そんな事に気付いたバカには文句すら言ってやんない。
fin
人魂
オールスター観てて思った事。
100403
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