shortStory

□天使と悪魔
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一人の天使が、くすり、と笑う夜…
私は天使…
それ以外に何があると言うのです?
私と貴方は真逆…
本当なら私達は一緒になってはいけない…

ですが私が貴方を選んだ、
理由などありません ただ私は自分の心に素直になっただけの事…

わかったんです…、
何故私が貴方のような悪魔を好きになるのか…

その



真実が…


「貴方はつくづく可哀相な人だ…」
子供の言うことを素直に聞くなど…

本当は飽きているのでしょう?
それをただその子供に見せない…、いや、見せたくないのか…


まぁ、そんな事はどうでも良いのです…
だって貴方はもうすぐ

『私のモノ』


になるのですから…


天使はそう呟き、夜の闇へと消えた。




〈ファントムハイブ家〉

「…」
なんでしょうか… 今の気配は…


私は悪魔…
「どうした…セバスチャン?」
そう、この『セバスチャン』と言うのが今の私の名前…

この方、私の仕えている方はまだ12歳にも拘わらず、この ファントムハイブ家の当主なのです…
「いえ、なんでも…」

この方は女王の忠実な『犬』
『番犬』
とでも言いましょうか…

私はこの方の命令では無い限り動く事は無い…

それが坊ちゃんとの

『契約』
ですので…


それはともかく、私はいつの日か『天使』と言う者に会った…

天使…

それは私達悪魔とは逆の存在、
一生分かち合えないと思っていましたが…

まさか…ね…



〈林〉

ここは屋敷の裏にある林なのですが、気になることがありまして来てみたのですが…


…何も…ありませんね…


途端に後ろから声がした…

「待っていました… こっちです…」

私はまるで操られたかのようについて行った…



「誰です?人間…ではないようですが…」
「私は天使、アッシュ 女王の執事です」

「…」
私は眉を寄せた

「天使などが私になんの用です…?」
「貴方は悪魔でしょう?何故あの子供に付き従うのです?」

天使が私に問い掛けた
「貴方には関係ないでしょう…」
「そうですか…?」
天使がフッ と笑う
そして私の背後に回り腕を抑え付けられる…
「何故私を掴むのですか…」

「当たり前でしょう?悪魔(貴方)が逃げないように…ですよ」
「…?」

また天使が笑う…

「良いですね…悪魔が天使に…」
「…?」




その後私は意識を飛ばした
不意に天使は唇を合わせて来た
「!?」
腕を縛られてしまった為、身動きが取れない…

そのうち口の中に舌が入り込んできた
自分の舌と相手の舌が

ザラリ

と触れ、口の端から唾液が流れる…
「なにを…」


「私のモノになりませんか?」
と耳元で囁き、またキスをされた
私は天使の唇を噛んだ…
口から少量の血が流れた



やがて心配した坊ちゃんの声が聞こえた…
その瞬間、腕が自由になった、天使も居ない…




「セバスチャン…?」
心配そうに顔を覗かせてきた

「なんでもありません…、戻りましょう」


私達は屋敷へと戻って行った…



その光景を見ていた者がいた…
その者は

フフッ


と笑い、誰にも気づかれずにまた闇へと消えた…
 

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