幸福論
□summer!
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「「夏休みだー!!!」」
「…お前らな」
「元気ねえ」
今日は終業式。
休み前の期末テストを無事にクリアした2人は大喜び。
これから貰う成績表のことなんてすっかり忘れて夏休みの予定を立て始めた。
「綾里は夏休みどっか行くのか?」
「ううん。バイトでもしようかなって思ってる」
「バイトか、いいな」
「桑原君は部活漬けでしょう?」
「まあな」
取り立ててやることもない夏休み。
折角なので学生らしくバイトに明け暮れることにして、この間見つけた雰囲気の良い喫茶店に早速応募した。
応募のキッカケはそこのコーヒーがすごく美味しかったからだが、採用されれば生活費も稼げるので一石二鳥だ。
「ねえ!夏休み鈴蘭の家泊まっていい?」
「いいよ。一緒に宿題やろうね」
「…うぅ、頑張る」
どうでもいいけど、茜は夏休みの宿題は最終日にやるタイプだと思う。
「ほら成績表返すぞー!」
担任が教室に入ってきて、そこで会話は途切れた。
それから成績表を見て顔を青くしている茜と丸井君を見て、桑原君と笑った。
1年目の夏が、やってくる。