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□もしも貴方が
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大好きだから
頼ってよ


もしも貴方が

最近笠松先輩が変だ。
俺をあきらかに無視している。

「笠松先輩!」

体育館裏の奥に見える
愛しい背中。
逃げられる前にその体を抱きしめる。

「はぁ、はぁ、見付けたっス」

「……。」

抱きしめている体は微かに震えていて、冷たい。
それは、長時間外に居たという証拠。

「笠松、先輩?」

「黄瀬はさ、優しいよな、なんだかんだやってても」

声は悲痛に震えていて。
何があったんだろう。

「笠松先輩、俺、」

「キャプテン、として、ちゃんとできて、るか、不安で」

夢を見るんだ。
怖い夢。
試合中、まるで俺がいないかのように試合が進んで行く。
ボールが目の前をいっぱい通りすぎていくんだ。
試合が負けて終わると、みんなが俺を責めるんだ。

キャプテンなのにって

夢なのに、割り切ればいいのに
割り込ることができないんだ。

笠松先輩の苦しい声。
聞きたくなくて力一杯抱きしめた。

「黄、瀬?」

「大丈夫っス!俺、笠松先輩を1番頼りにしてるんスよ?」

だから、元気出してください。


「っ、あり、がとうっ!」

「泣いていいっス!愛してます笠松先輩。」

end

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