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□砂糖菓子のような
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「しーんーちゃーん。」
「なんなのだよ。」
ガランとした教室の中
俺と真ちゃんは向かい合って座っていた。
真ちゃんは読書。
俺は放置。
「真ちゃん、つまんねぇよかまってー」
「うるさい、黙れ。」
「ひどくねっ!?」
俺は不貞腐れて窓の外を見る。
一応彼氏なんだからもうちょっとかまってくれてもいいのになー
なんてことを考えながら。
その状態がかれこれ15分。
瞬きする度に音が聞こえそうなほど長い睫毛や、以外に潤っている唇、ページをめくる細くて長い指。
全部俺だけが今見ているって思うと
頬が緩んで仕方なかった。
けど、おもしろくは、ない。
真ちゃんは微動たにもせず、もくもくと読書を続けている。
今日は監督の用事もあってバスケ部だけ部活がないし部活終了時間まで学校にいれるから時間がなくて読めない分厚い本を読む真ちゃん。
忙しいし、なにせキセキの世代だからって練習しないわけじゃねぇから
普段は読めないから仕方ないだろうけどさぁ。
「真ちゃーん。」
「・・・・。」
とうとう無視かいっ!
俺は落ちていく夕日を見ながら、そろそろ帰ろうかと席を立った。
「そろそろ、俺帰るな気をつけて帰んなね。」
歩き出した俺をひきとめたのは。
「・・・・?」
袖にあるさっきまでページをめくっていた指。
真ちゃんはこっちを向いていないけど
きっと行くなって言いたいんだろう。
俺は嬉しくなって真ちゃんのサラサラした髪を撫でた。
「一緒に居てほしいの?」
「・・・・・べ、別に。」
「ハハッ!そっか。」
俺は再び席に着いて、ページをめくらない方の手を握った。
「一緒にいよっか。」
「・・・ああ。」
end