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□無題
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好きだった。
大好きで愛してる、
そんな言葉じゃ足りないくらい
あいつが愛しかった。

「好きなんだよテツっ!」

俺の叫びを無視するように、あいつは俺の中から、俺の傍から消えた。
探して探して、記憶の奥まで捜したのに。
あいつを見つけることが出来なかった。
消えてしまったあいつをつなぎとめておきたかったのか
ただ、あきらめが悪いのか
俺はいつまでも苦い恋心を持ったまま呻き続けた。

あれだけ好きだ好きだと騒いでいた黄瀬も
興味はないと繰り返しいいながら気に入っていた緑間も
テツ君テツ君と追いかけまわしていたさつきも
過去の光だった俺も
「キセキの世代」というカテゴリーの中に入っていた奴らの記憶からあいつは消えた。
どんな魔法を使ったのかわからない。
けど、あいつは突然消えた。
喪失感とわけのわからない気持ちの整理がつかず、俺は八つ当たりの様にバスケをやった。

「黒子っちを・・・・見つけたッス、青峰っち。」

黄瀬から「くろこ」という単語が出てきた瞬間、俺の中の全てが弾けた。

「ハハ、ハハハハハハッ!!」

「・・・・大輝。」

さつきの前でだらしなく体のすべてをあずけ俺は泣いた。

愛していた?好きだった?大好きだった?

そうだ、俺は、あいつの光で
俺は、あいつの恋人だった。

・・・だった?

「いやです・・青峰く・・んっ!あぁぁ・・っ!」

テツの悲鳴じみた喘ぎ声とビクンと反応している細い体。
テツを縛り付けて泣かせて貫いているのは
泣いて、好きだとすがりついている俺。

そうだ、そうだそうだそうだそうだっ!
俺はモヤモヤとする意識の中全てを思い出した。
俺は、テツを、無理やり求めたんだ。
テツを傷つけて、ボロボロにして、立ち上がれなくして俺のものにしたくて
そしたら、あいつは、消えたんだ。

「全部・・・俺のせい・・・だったのか。」

置いて行かれた。
そう思ってあいつの今の光の火神に絶望を与えたのに。
傷つけて、泣かせた俺を
あいつは優しく捨ててくれただけだった。

「・・・・・・。」

でも、好きで。
傷つけても大好きで。

愛しているから。


「ぜってぇ、負けねぇよ?テツ。」

お前を俺のものにするまでは。

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