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□手の方向
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あいつの笑顔は俺のもの。
あいつの温もりは俺のもの。


俺から、あいつを、取らないで



手の方向


「好き、好きじゃ、巧」

学校で人気のあいつは、無愛想な俺を好きだと言った。
俺も豪が好きだから、付き合った。
でも、付き合ってから不安が増えた。
毎日というほどある、告白の手紙と呼び出し。
断っているってことは知ってる
俺の事を好きでいてくれているということも。
昨日の熱が体に残ってる。
いつもなら、幸せなのに、今日は最悪だ。

朝から豪の下駄箱に手紙があって、俺は不安になりながら、無視をした。

大丈夫、豪は、大丈夫。

「原田ぁー、聞いた?また豪が呼び出されたんじゃと!お前といい、豪といい、夫婦仲良くモテるのー」

沢口が昼飯のおにぎりを頬張りながらいう。
俺は不快になりながら、尋ねる。
「沢口、豪いつ、呼び出しくらったんだ?」

「説教みたいに言うなや!今日の放課後らしいで」

キラキラした目で見てくる沢口
俺は、呼び出す女子に腹が立った。
豪との、野球の時間をそんな事で無駄にさせるな、と。

「巧ちゃーん、大事件!大事件!旦那の話し聞いた?」

うるさい吉貞がパンをくわえながら、話に入ってくる。

「呼び出しだろ?いつもの事だろ?」

「チッチッ、駄目だよ巧ちゃん今回は、豪のタイプの先輩じゃんけん、新田東のアイドル!うらやましいわぁ」

豪、のタイプ?

取られる?

「巧ちゃん?どしたの?」

「別に」

俺は味気無いご飯を吉貞にあげて、机に突っ伏した。
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