novel・1(おお振り)
□檸檬のキミ
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秋も深まり、ほんの少しだけ風が冷たくなり始めたとある日。西浦高校野球部は今日も練習に励んでいました。
「いずみー!そっち行ったぞー!」
「おー!」
一年九組の教室にて
「いっずみー」
教室にて授業間の休憩ともいえる昼休みに泉は休んでいた。そこに響く声、西浦高校野球部応援団の団長、浜田だ。
「なんだよ、貴重な休み時間に・・・・」
「今日誕生日だったよな、ほれ!」
そう言って投げ渡されたのは緑のチェックの綺麗な紙でラッピングされた小さなプレゼントだった。
中身を開けてみるとオレンジ色の瓶が2つ。
「なにコレ?」
「香水。匂いは甘橘系。ちなみに俺の手作り」
手作りというセリフに泉は驚いた。夏、応援団の襷や横断幕など数多くのモノを作った浜田が香水まで造れるとは。もしかしたら、下手したら浜田に造れないものはないのかも知れないと最近思い始めていた泉だった。
「オレあんま香水とか使わねぇんだけど・・・・」
「あ、大丈夫だ小さなインテリアとしても使えるように入れ物にも細工してあるから部屋に飾れるぜ?じゃあそろそろ俺行くな、先生に呼ばれてたんだ」
そういって浜田は去っていった。