novel・1(おお振り)

□映画
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映画




事の発端は田島の思い付きだった。

「映画観に行こっか」
「え、映画?なんの?」
「最近さ本屋とかでよくその映画のフェアとかやってんじゃん。タイトルなんだったっけなぁ?」

三橋は戸惑った。いきなりなんだっけ?と話をフラれ、考えるが最近は部活が忙しくあまり本屋には行っていないため、情報が不足していた。田島と二人で考えるが、タイトルは出てこなかった。すると教室のドアが開いて泉、浜田、栄口、水谷が入ってきた。

「あれ?三橋なにやってんの?田島も。なんか考え事してるっぽいけどさ」
「あ、あのね!た、たじまくんが映画行きたいって言ったの!!そしたら映画の名前がわかんなくって、二人で考えてたの!」

「み、三橋、落ち着いて!ほら、あっちでジュース飲もう」

顔を真っ赤にしながら精一杯説明する三橋を栄口が落ち着かせている間に泉と水谷が会話に入る。浜田は泉に邪魔と言われ教室から追い出された。少しだけ哀想に思えた。

「で、どんな映画なの?」

そう言うと泉は最近の映画のパンフレットを鞄の中から取り出した(五作品分)

「うわっ!なんで泉そんなの持ってんの!?」
「朝、浜田から貰った。『どれがいい?』とか言ってきたから後で決めるってことにしてパンフレットだけ取ってきた」

その言葉を聞いた瞬間に、水谷は浜田が泉をデートに誘おうとしているのが分かった。顔を上げると栄口も分かったようで、ドアの外にいる浜田に後でエールを送っておこうと思った。
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