novel・3(お題)
□出会いキセキ
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「ずっと、ずっと一緒だ」
そう言われたのはいつだっただろうか。
皆で騒いで楽しかった高校時代から10年が過ぎた。
今、オレは26になった。
十年前――――冬
ちらほらと雪が降りはじめ、手袋やセーターなどの防寒着が当たり前の時期。
二人は共に近くに出来た新しいデパートに来ていた。
目的はデパートの中にある大手スポーツ店。
「あ、あった!」
そのスポーツ店ではボールやストップウォッチ、バットなどの道具を定期的に安く販売しているセールがあった。
それを逃してなるまいと百枝は三橋と阿部、花井と田島を連れて格安セールに向かったのだった。
そして、現在は阿部と三橋の二人だけ。
他のメンバーは各自道具の確保のため散らばっていた。
そして目的の道具を購入した二人は階段横のベンチにてジュースを飲みながら他のメンバーを待っていた。
「あ、阿部くん」
「ん?どうした?」
「手、繋いでいい?」
「いいぜ。周りに見られないようにな」
二人は恋人同士だった。
無論、同性という
禁忌の恋愛。
ただ体を繋ぐだけ
キスをする
手を繋ぐだけでも
周囲からは忌み嫌われる
けれども二人にはそれをも越えるほどの深い絆と互いを想う愛があった。