novel・1(おお振り)
□曇心ときどき晴心
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ある日、屋上に来いと田島に呼ばれた。
「どーしたよ?急にさ」
屋上に続くドアをあけて金網にもたれて空を見上げていた田島に声をかけた。
「んー花井に会いたくなった」
いつもみたいに屈託のない笑顔を見せた田島だが、どこか表情には影があり、まだ試合の結果を引きずってることがわかる。
金網に近づいて田島の隣に座ると、急に田島が抱きついてきた。
どうしようかと思ったが、顔を埋めていたので優しく声をかけた。
「・・・・泣きたいなら、泣いていいぞ。まだ泣き足りねぇんだろ?」
そう言うとうっすらと俺のシャツが濡れ始めた。