novel・1(おお振り)

□ジグザグ
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2、3日して、廉は埼玉にやって来た。家族で住むのかと思っていたら廉だけが住むようで、びっくりしたけど、弟みたいに可愛がってやらないとという意識がすでに俺の中で芽生えていたので、そんな小さな驚きはすぐに消えた。

「みはし れんです!よろしくね」

そう言って、廉はニッコリと笑って俺たちの三星小のメンバーの中に入ってきた。内心、かなりドキドキしてた。思ってた以上に廉が可愛かったからだけど。

「よ、よろ「よろしくな、仲良くしようぜ三橋ッ!あ、オレは畠。キャッチャーしてるんだぜ!だからお前の球取ってやるよ!」

俺の言葉は畠の馬鹿にデカイ声に消えていった。
(畠、後で殺すッ!!)
沸々と畠に対する憎しみが俺の中に―――――って俺は心が広い―器がデカイ―――やっぱムリ(笑)
翌日、ぐったりとまるで某ゲーム、バ○オハザ○ドのゾンビみたいな顔が原因で畠は学校を休んだ。

「叶」

廊下を歩きながらボールを巧みに操っていた俺にいきなり宮川が声を掛けてきた。振り向くと宮川の後ろには担任の先生が。俺はサッとポケットの中にボールを隠した。

「どーかした?」

「畠。今日アイツ休みなんだってな?昨日あんなに元気だったのになぁ。なんか知ってるか?」
「いいや?全然」
「ならいいや」
「珍しいな。宮川が畠の心配するなんてさ。なんかあったの?」


次の宮川の言葉に俺は耳を疑った。

「いやぁな、廉くんが・・」
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