獣の奏者エリン


こころ
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あの、タハイアゼでの出来事から数週間後。

私はセィミヤさまに、リランたちを連れてカザルムへ戻ってもよい、という許しを得て、今、ここにいる。

「…さぁ、外に出て。掃除するわよ」

王獣舎の扉を開け、リランたちを外に出す。

リランは自分の気に入った場所に行き、エクとアルは2頭で水浴びをしていた。


数週間たった今でも、多くの大公軍の人たちを殺してしまった、という罪悪感は消えない。

それはまるで、あれからずっと痛みが絶えない、背にある矢傷のように。

カザルムの人たちは皆、少し私を心配するような感じではあっても、何もなかったかのように接してくれた。

もちろん学童たちも。

だけど、誰と話をしていても、この心にある罪悪感は残ったままだった。


――でも、ただ一人だけ、本当に一人だけ、話すと心が落ち着く人がいる。


王獣舎の戸を叩く音が聞こえた。

振り返ると、見慣れた姿。


「―――イアルさん」


この人だ。
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