※フェイクハニーの続編というか時系列的には前にあたる話。
※テルミんとハザマんの関係が捏造甚だしい感じです。




私は自分という存在の殆どを『彼』に委ねている。
それは互いの力関係上仕方のないことだったし、何より自分がそう望んだ結果だ。
私は『彼』と契約したのだ。
私という存在を全て『彼』に差し出す。その代わりに・・・・・・。

「あの子を私に下さい」





生まれてこの方、全てのものに興味や関心といった感情が沸かなかった自分。気づけば側には『彼』がいて。『彼』の言うがままに生きてきた。生きている実感は無いに等しく、空っぽの自分はただ、『彼』の器でしかないと思っていた。
だからあの日も『彼』の言うがまま、士官学校の長期休暇を利用して辺鄙な場所を訪れたのだ。
何もない場所、それがその場所の印象。
ただただ広がる青空と緑の絨毯の間に小さな教会が一軒立っていた。
そしてそこから少し離れた場所に大きな樹が一本。

「全体的に他の階層都市上層と比べて魔素が薄い場所ですが・・・・・・あの教会と樹の周辺は異常に薄いですね」
『ババァの仕業だろうな。ったく、胸糞悪ぃ』

隣というか背後というか。なんと表現すればいいか解りかねるが私のすぐ側にいる『彼』が毒気付く。『彼』が一体何の目的でここへ来たのか、何に対してそんなに不快感を感じているのかは私には解らない。でもそれでいいと『彼』はいう。私も深く追求しない。本当に・・・・・・どうでもいいことだからだ。
『彼』はちょっと野暮用といって私から離れた。
『ここで待ってろ』と言われ、私はただ何をするでもなく何もない場所を眺めて『彼』の帰りを待つことにした。
『彼』はこの世界で長時間及び長距離私から離れると存在を維持できない。また、存在といっても『彼』の存在を認識できるのは自分だけだ。『彼』がその気になれば他の人間にも声や姿を届けることが出来るらしいが、それはとても疲れることらしい。
そして『彼』を待って数分、教会から本を抱えた少年が出てきた。

「っ・・・・・・!」


A



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