小説@「悪の物語」

□過去
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カラーンコローン・・・。

期待の中僕らは生まれた。
祝福するのは、教会の鐘。
しかし、僕らの国では
双子は「不吉」と言われていた。

元王女であり、僕の母でもあった
リシェアも同じだった。

「ホギャー!!ホギャーー!!」
「ウーーッ。あ〜〜・・・。」

元気な赤ちゃんの泣き声が響いている。

「奥さま。元気な赤ん坊ですよ!」

しかし、リシェアはうかない顔をしていた。

「奥さま?」
「泣き声が2つ。双子だな。」

使用人は静かにうなずいた。

「何ということでしょう!!
 私とした事が、双子を産むなんて!!」

リシェアは半分泣き声で言った。
使用人は、何も声をかけられず、ただ、
見ているだけであった。

ふと、リシェアがあることを思いついた。

「そうだわ。どちらかを殺してしまえば
 双子ではなくなるわ!!」
「お・・・奥さま!?」

使用人は、顔が真っ青になった。

「そのようなお考えはいけません!!例えどちらかが死んでも・・・。」

「何?私も言っていることが間違っているとでも??」

「いえっ。そういうわけでは・・。」

「ウフフッ。あはははッ!!!」

使用人は2人の赤ちゃんを抱きかかえた。
そうでもしなければ、危険だと思ったからである。
しかし、二人目を持とうとしたとき
先にリシェアの手が伸びてしまった!!

「こっちは男の子か・・・。そっちは女だったな。では、こちらを!!」

「やめて下さい!!!!」

ドン ドサッ バタバタ・・・・。

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