いつからだったか。
彼女へのキモチが芽生えたのは。
いつからだったか。
彼女のことが頭から離れなくなったのは。
いつからだった、か。
こんなにも、彼女を愛してしまったことに気付いたのは。
伝える気はなかった。
叶うことなんて望んでいなかった。
こんなキモチは、自分には不要なものでしかなかったから、押し込めることに決めた、はずだったのに。
気付いたら、彼女が欲しくて堪らなかった。
気付いたら、彼女が愛おしくてどうしようもなかった。
名無しさんの笑顔。
名無しさんの仕草。
名無しさんの髪。
名無しさんの指。
名無しさんの全てが、尊い、大切なものになっていた。
抑えが効かなくなることなんて。
生まれて初めてだった。漆黒のアリア