「今日もこれといった動きはなかったわ、秀」
「………そうか、」
ジョディさんが高校教師として潜入してから、早くも一ヶ月が経った。
その間、ベルモットが派手に動くことはなかったけれど。
「完璧に変装、してますね」
「あれがあの女の十八番だからな」
初めて見る、ベルモットの変装。
変装だと言われている今でも、半信半疑だ。
まるで、新出先生なのだから。
(ジン、)
動き出す時が来たと言った、ジン。
何をしているのかは、わからないけど。
(気をつけて、)
ジンが簡単にやられるはずがない。
それは充分わかっているけど。
逢えない分、不安が私を飲み込むのだ。
(いつからこんなに弱くなった、?)
バカバカしい。
生れついての殺人人形に、感情なんて。
(なかった、はずなのに、)
私は、堕ちるとこまで堕ちた、汚れた人形。