御馳走(戴物)
□《かなしいときーっ》
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『かなしいとき〜っ(百介の場合)』
百「えっと…版元に百物語の原稿を持って行って、『考物の原稿が先だ』と泣き付かれた時、ですか」
又「あ〜、そりゃア(怖いンだよ、先生の書く百物語は)」
ぎ「先生ェ、次があるよぅ(ホンに怖かったからねぇ夢に出て来たもの)」
治「ま、気ィ落とすンじゃねぇよ」
百「…はい(百介、負けないモンっ)」
リベンジ狙ってます。
はい、お次は?
『かなしいとき〜っ(又市の場合)』
又「奴が気合い入れて口説いてるのに、先生ェには通じてない時でやすかねぇ」
百「えっそ・そぅなんですか?私はてっきり冗談か、新しい悪戯ネタだとばかり」
又「いや、ですからね、奴はぁ」
ぎ「普段の行いの悪さだよ、小股潜りっ」
治「まだまだ青いな、又公」
又「うるせぇっ(遠回しに言えば伝わらないし、あからさまに言えば恥ずかしがって聞いてくれねぇし。どーすりゃ良いってンだ)」
避けられてないだけマシでしょう。次
『かなしいとき〜っ(おぎんの場合)』
ぎ「先生ェは何時になったら妾と、夫婦の盃を交してくれるかしら、ってね」
百「……はい!?(真っ赤になって固まってます)」
又「おぎんっ」
治「あ〜仲人役なら任せろ」
又「とっつぁんっ」
ぎ「なにサ又さんだけに良い想いはさせないよぅ」
又「底意地悪ぃな雌狐っ」
ぎ「五月蠅いねぇヘタレ小股潜りっ」
二人でギャーギャー喚き合ってますが。
治「で、肝心の先生ェはどぅなんでぇ……先生ェ?(あ、駄目だ。彼岸に行っちまってら)」
双方共に要努力。
はい次、次
『かなしいとき〜っ(治平の場合)』
治「儂は未だ若いんだーっ」
一同「………(目線を避けている)」
治「なンだ、手前ェ達、文句があるのかっ」
又「いや、あるっつーか何つーか」
ぎ「とっつぁん、無理は禁物だよぅ」
治「て、テメェ達なあっ」
百「ま、ま、治平さん。カッカッしてると頭に血が」
治「だからっ儂ァ未だ若いんじゃーっ」
一同「………(た、魂の叫びだ)」
若い筈だよ、50手前の治平さん。
『かなしいとき〜っ(徳次郎の場合)』
徳「おコンチワ〜、おぉ、何時もの事ながらおぎんちゃんはキレイだね〜」
又「ケッ、毎度尻軽な野郎だゼ。こんな牝狐の何処がいーんだか」
ぎ「ちょいと、さっきもソゥだけど、妾の事を『牝狐』呼わりするンじゃないヨ」
又「それだけかィ、なら徳次郎の尻軽は否定しねェんだな」
治「うう…儂はコイツより若いんじゃー」
百「まぁまぁ治平さん、落ち着いて…」
徳「おぎんちゃーんこっち向いてー」
又「おい、呼んでるゼ」
ぎ「………」
徳「あぁッ、ソッポを向く冷たい横顔がたまら〜んキレイな眉が歪む様もおステキ〜おぉッ、舌打ちする様子も艶っぽくてゾクゾクするゥ〜」
ぎ「ちょいと又さん、惜しいが先生ェの事は諦めるから、代わりに其所で騒いでる馬のシッポを簀巻きにして大川にでも沈めておくれな」
又「よぉしその案に乗った。おい、とっつぁん、コイツが目障りなら手伝いな」
治「おぉ、ガッテンでェ」
百「だ、駄目ですよ又市さん。そんな事をしたら…って、あぁ連れてかれちゃった…」
ぎ「うふッ、先生ェ漸く二人っきりになれましたねェ」
……あれ?何時の間にか話が違う
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2007.12.14 拍手SS
2008.01.06 再
《百介、又市、おぎん、治平の場合》by礼生
《徳次郎の場合》RU追加編集