御馳走(戴物)

□《欲張りな君》
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欲張りな君


「好きでやすよ」

又市は百介を抱きしめた。

旅の宿に、仕掛けの為に二人きりで泊まることになった。


「又市さん…」


別に、初めて言われたわけじゃない。

だから、慌てない。取り乱さない。

まだまだ、取り乱すには足りない。


「……ねぇ又市さん?」

「へい」

「接吻《キス》してくれますか」

「お望みのままに」

ちゅ


百介はうっとりとして、又市と唇を交える。


まだまだ、足りない。
百介は叫んだ。


「ん」

百介は又市の顔を手で挟んで、もっとと舌で言う。


いつもは控え目な百介の行動に、又市は戸惑う。

「ん、んっ」


それでも、次第に二人は夢中になっていく。


「……ぷはっ、はぁっは」

「は、今日は積極的でやすねぇ、先生?」

にやりとして、又市は言った。

「だって」

「足りないんです。
貴方の愛が、まだまだ足りないんです」

その瞳は真っ直ぐに又市を見つめる。

又市は、驚いて目を見開く。

「先生」

「私、欲張りなんです。
だから、貴方の愛は全部欲しい」


愛してるの一言じゃ
キスの一つや二つじゃ

私はほだされませんよ?


10/26 【天体宮殿+観測病院】“不知火”様より戴物
 

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