狩猟(巷説)

□《豆狸》
2ページ/2ページ


 治平が頭を下げる、と同時に着物の背から何か黒いモノがさっと離れ、軒から屋根へと飛び逃げ出していった。
「……え?」
 ええーっっ!!




 治平は、外歩きから帰った直後を覚えては居なかった。
 又市とおぎんは、“豆狸”の悪戯を真実止めさせたのが誰かを悟り、溜め息の嵐。
『な〜んだってアアも化け物好きなんだよ、先生ェはっ』

 百介は、と言えば。
「豆狸や〜い」
 ぐすぐすと半泣きになりながら、暫くは山道を“豆狸”探して歩いていたという。




2007.10.08 -END-

前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ