絵本百物語(辞典)

【あ】 2件

【赤えいの魚 (あかえいのうお)】
《後巷説1》“あかゑいのうを”この魚その身の尺三里に余れり。
背に砂たまればをとさんと海上にうかべり。
其時船人嶋なりと思ひ舟を寄れば水底にしずめり。
然る時は浪あらくして船是が為に破らる。
大海に多し。

巷説の中でも一二を争う、腐女子萌えな原作である。
密室で恐怖に追詰められた心理状態な百介と、助けに来た又市。
ありゃ依頼云々よりかは、百介を案じて追って来た、と見ると更に萌えが増す。
ちなみに、この場面で二人が出来たか、既に関係が出来ていたかは、好みの別れる所である。


【小豆洗 (あずきあらい)】
“あづきあらひ”《巷説1》山寺の小僧、
谷川に行てあづきを洗ひ居たりしを、
同宿の坊主意趣ありて谷川へつき落しけるが、
岩にうたれて死したり。
それよりして彼小僧の霊魂、
おりおり出て小豆をあらひ泣つ笑ひつなす事になんありし。


巷説百物語、最初の話。
百介の話し方や、又市への呼び掛けが固い固い
礼生的には《講談百物語》の百介が、好きだなぁ。あの、真っ当そうでいて真っ黒な肝ってのが“闇宗主”に繋がるネタな訳。



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