絵本百物語(辞典)

【し】 4件

【塩の長司 (しおのちょうじ)】
“しほのてうじ”《巷説5》家に飼たる馬を殺して食しより
馬の霊気常に長次郎が口を出入なすとぞ。
この事はむかしよりさまざまにいひつたへり。

ある意味、百介さんが頑張りました。
四つ玉の徳次郎さん、出て来ます。
しかしこの幻術遣い、何故か礼生の中ではギャグメーカー。
しかも治平さんより精神的に若い気がしてならない。
因みに、馬の怪で一番怖いと思った話は「夜中に血塗れの馬の首が、にゅ〜と玄関から入って来て…」というもの。


【死神 (しにがみ)】
《続巷説5》“しにがみ”死神の一度見いれる時は必ず横死の難あり。
自害し首くゝりなどするもみな
此ものゝさそひてなすことなり。

又市が背負ってしまった妖怪、というべきか。
それにしても原作では、危機一髪な百介さんでした。
西洋東洋の区別無く、死神というと《骨》あるいは《死体》というものを連想させる姿になっていますな。
いや、日本の死神は大鎌なんて持ってないけど、魂を狩集めてあの世に持って行く、というのは全世界共通な“死神”のイメージ。


【芝右衛門狸 (しばえもんたぬき)】
“しばゑもんたぬき”《巷説4》淡路国に芝右衛門といへる古狸あり。
竹田出雲芝居興行せし折から
見物に来りて犬に食はれ死たり。
然れ共廿三日が間は姿をあらはさゞりしとなり。

巷説の全編通して、個人的にこの話は好き。
芝の爺さんが狸と友達になる姿は、なんとも親しみが沸く。
恐らく事触れ治平は、狸の演技を地でやってたのでは?


【出世螺 (しゅっせほら)】
第十五“しゆつせほら”(深山に法螺貝あり。山に三千年、里に三千年、海に三千年を経て龍となる、という)
古代巻貝の中には超巨大なタニシがいたそうで…もしかすると昔の人は、その化石をみて妖怪法螺貝を考えてみたのかも。
その法螺貝が抜け出した跡ってのが、伝説とともに残っている地方あり。
「地中のガス溜りが一気に破裂した跡」という説もあると聞きます。
この詳細を知る方、是非にも礼生に一報下さい。



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