絵本百物語(辞典)

【は】 3件

【白蔵主 (はくぞうす)】
“はくざうす”《巷説2》白蔵主の事は狂言にも作り
よく人の知るところなれば
ここに略しつ。

「哀しいやねぇ」そんな言葉が似合う話。
原作の出だしが上手で、思わず読む側も錯覚してしまいそうな仕掛けの妙。
百介さんも、天然でやってますがな。


【歯黒べったり (はぐろべったり)】
第二十三“はぐろべつたり”或人古き社の前を通りしに
うつらかなる女の伏拝み居たれば戯れ云て過んとせしに、
彼女の振むきたる顔を見れば、
目鼻なく口斗り大きくてげらげらと笑ひしかほ、
二目と見るべきやうもなし。

のっぺらぼう一族。お歯黒は成人した女性の証とされてました。
虫歯対策?
匂いは酷かったそうですが
平安時代では毟ろ歯が白いままだと、幼い、冠位が低い(殿上でなくば)人はないという訳で毟ろ歯黒をしてないと馬鹿にされていた。
ならば、これは強烈な風刺なのでは、と考える訳です。


【波山 (ばさん)】
第二十一“ばさん”深藪のうちに生じ、
常に口より火を吐きて夜々飛行すとぞ。

バサバサ、という妖怪の仲間か?
画図はどぅ見ても軍鶏、猛々しい鶏と考えれば。
中国では太陽神の眷属にされてますから、火を吹くのは有りかも。
《参加追記(R)》
『バサン』の絵はどう見てもコッカトリス(笑)
火を吐く(コッカトリスは毒だが)ところがソックリ
してみると、東西関係無くこういった妖怪の概念って在るのかも。



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