絵本百物語(辞典)

【や】 4件

【柳女 (やなぎおんな)】
“やなぎをんな”《巷説6》若き女の児をいだきて風のはげしき日、
柳の下を通りけるに
咽を枝にまかれて死しけるが、
其一念柳にとゞまり夜な夜な出て口をしや
恨めしの柳やと泣けるとなん。

こちらは原作に登場しましたが、どうも原典は中国から来たようで。
おぎんさん、大活躍の話でしたが。逆にオドロオドロしかったなぁ。
“子返しの絵馬”を思い出してしまった話です。


【柳婆 (やなぎばば)】
第四十一“やなぎばゝ”古き柳には精有て妖をなす事
むかしよりためしおほし。

何故に婆っ
いや、「柳は女、松は男」と謂れておりまして、こんな命名されたのでは、と想像。
桜や梅や桃とかにも妖の話は残っております。
つまり古木信仰の名残なのでは、と考えて。
屋久島の杉の神秘な姿…恐らくはもっと巨大でもっと古い木もあった事でしょうから。


【山男 (やまおとこ)】
《後巷説4》“やまをとこ”深山にはまゝ有者也。
背の高さ二丈斗りにて其形鬼のごとし。
山賊など是に逢て逃ればあやまちあり。
頼む時は柴を負て麓までおくれり。
これ其力ぢまんとぞ。

一白翁が寂しそうに「いなくなってしまった」と妖怪を懐かしむ姿、良く判ります。
今も何処かの深山に居るんだろうなぁ、と想像すると楽しいのですが。
因みに、雪男とかヒバゴンとかと同一視されると微妙な問題が。
山の民は昭和の初期まで、現実に存在していたそうです。


【山地乳 (やまちち)】
《前巷説5》“やまちゝ”このもの人の寝息をすい、
あとにて其人の胸をたゝくとひとしく死すとなり。
されどもあいねまの人、
目をさませばかへりて命ながしといふ。
奥州におほく居るよしいひつたふ。

山の怪異の一つなのだろうか?
よく判らない妖怪である。
わざわざキスしに出て来るな、と言いたい変態妖怪。何故に寝ている人間を襲うのか?
因みに、これが冬山であれば囲炉裏火の一酸化炭素中毒による事故死、にするのだが。
どうにも夏冬関係なく出ているらしいから…やはり不明だ。



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