たえとの短編集☆

□今朝の夢は…。
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好きに決まってる
君のこと、好きに決まってるじゃないか…。


その一言がほしかった
心がすごく冷たくて
こらえながら泣いた

…………………………
…………………………

探偵?をしている私の恋人(夢の中だけによく現れるハワイ系のひと)が、遠い出張の旅から帰ってきた。


やっと帰ってきたのに。

私のところへすぐには来ず、私の一番嫌いな女の子と、一緒に街へ出掛けるのを見てしまう。

他にも、同族系の?若い女性も一人いて。向こうから、彼についてきたみたいな様子。

依頼人なのかもしれない、と思ったけれど。

私は、わざと平気を装おって、偶然を装おって、タクシーを運転させて、彼らの横を通りすぎた。


ちょっと控えめに、手を振ってみた。すると。

すっ、とかわされた。
一瞬、顔をみたのに。
知らないひとのように、顔をそらされた。

私の嫌いな女の子が、得意気にこちらをチラッと見て笑った。さらに彼をどこかへ誘っていく。


なによ。
なによ。

平気よ私
勝手にすればいいわ

あなたのことなんか考えなくたッて、もっと素晴らしいことが、この世にはたくさん、あるんだから……

うらはらに。涙が頬を伝うけど、拭ったら負け、みたいだから構わずに。

車を降りて、一人で街をメチャメチャに歩く。
繁華街を抜けて、なんとなく暗い路地へ入る。冷たい雨も降ってきた。


トントン、トン。


後ろから急に、彼がきた。嫌いな女の子は、もういないけど、現地からついてきた女が、まだいるみたい。

彼は黙って、私の手をとり、なにかプレゼントを渡してきた。

布に包まれたそれは………ヌルっとしたキノコ類と、でかいナメクジ?が一匹、はりついてる。

なによこれ?!
気持ち悪いしっ

こんなのがプレゼント?
からかってるの?私がしつこい、ネばいということ?わかれろと?

要らない!要らない!
私は地面に投げつけた。


彼が顔を凍らせた。
しばらく立ちすくみ。

横から現地女がきた。
彼らはテレパシーのようなもので会話してくる。

………それは、あなたの身体にとても効く、向こうでも貴重な食べ物よ。

あなたのために、兄は、高いお金をつんで、摘んできたのに。

なぜ捨てたりするの
なぜ、なぜ…

泣いてる、みたい。
この人は妹さんだった。

ごめんなさい。知らなかったから。そんなことはちっとも…。

私はら雨に濡れた歩道の上に散らばった白いエノキみたいなのを、拾い集めはじめた。

彼と妹も、拾う。


拾いながらも、私の頭に渦巻く疑問。

でも、あの嫌いな女の子は?私のところへは、一番に来なかった…。


彼が、泣きながらしゃがむ私の手をとった。直接響く声。

彼『あれは、依頼人。これは、妹。きみ、なにか好きな曲、ある?』

私「は、何言って…?」

彼『君の好きなピアノ曲、ひいてあげる』

私「あるけど…題名わからない…(でもあの女の子は。私嫌いなの、わざと私からあなたを、奪おうとしていたの…わかってたでしょ…)」

彼は、後半の思いには応えず、手を両手でギュッとして続けた。

彼『題、わからなくてもいい。メロディ、思い浮かべて』

私「え……(浮かべ)」

彼『わかる。弾くよ。』


路地にはなぜか、棄てられたピアノがあり。
彼は弾こうとして私の傍をはなれた。


視界が、ぐるんぐるん…
ああ、もう目覚めが近い……。


……………………………………………………………そこで、起きた。


貴重なプレゼントより、帰ったらすぐに、傍に来てほしかった。

好きに決まってる、君のこと、好きに決まっている……と。

わかるように言ってほしかった。言葉にだしてほしかった。

彼が私のために弾く、優しいピアノの音色を聴きたかった。

もっと長い時間、二人っきりでいたかった。



とんでもなく、切ない夢を、みた。


☆fin☆
 

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