南☆妙斗の詩集
□ちょっと切ない詩をどうぞ☆
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金木犀通り
南☆妙斗
夕焼けの帰り道、
この一筋はなれた裏路地に一陣の風が吹く。
ひとつは、晩ごはんの
おかずのいい匂い。
それと、むせるような
金木犀の香り。
裏路地の人々はみんな家の中にいるから、
外にいるのはわたしだけ。
そこに優しい向かい風が
吹くと、やっぱり金木犀の香り。
そういう時には、
甘い物も塩辛いおにぎりもいらなくなる。
ただほっとして、とても 透明な気分になる。
金木犀の香りを含んでいる
ただ冷たい天然水を、少し飲む。
それだけでとても、
とてもいい気分になる。