台本版☆作品集
□happy☆bird (ハッピー☆バード)
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配役…ナレ(不問)1、茅子(女)1、ラピス(男)1、沢木(男)1 計4人
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ナレ:3、あなたの名前は…?
ナレ:結局、小一時間イチャつきまくるラピスであった。
ししおどしの音:(カコーン……)
茅子:と、とりあえず、もう1時間は経ってるから…は、はなしてくれる?ほら、あついし…ね?
ラピス:そうですか?…はあ、仕方ないですね、わかりました……
茅子:そ、それに!ご主人様と呼ばれるのは、なんか、その。恥ずかしいから……私のことは茅子(かやこ)でいいわよ。
ラピス:カヤ…コ…?
茅子:ええ。それが私の名前だけど?
ラピス:それでは、やはり…あなたは、『濃紺(のうこん)の石』カヤナイト様の生まれ変わりなのですね!?
茅子: は…………?
ラピス:なにも…記憶は残っておられないのですね?お可哀想に…ぼくがご説明いたします…あなたの名前にある茅(カヤ)とは、『濃紺(カヤノス)』という意味があります。
その色を持つ石『カヤナイト』は、古来より九月の誕生石であるサファイアと同類の石とされてきました。
そして、僕の仮宿であるラピスラズリは、そのサファイアを守るために存在している守護石なんですよ。
茅子:は………ぁ。
ラピス:つまりあなたは、サファイアと同じ輝き、同じ力を持つ者で、ぼくはあなたを守る者、ということです。
ああ…こんなに早くカヤナイト様が見つかるなんて!なんかもっと、たくさん経験を積んでから会えるものだと思っていたのに!まさか、いきなり会えるなんて!いやぁ、嬉しいなあ♪
茅子:私には、なにがなんだか…
ラピス:ああカヤナイト様、心配しないで。ぼくがこれから、あなたをもっと強く、もっと美しい、輝くサファイアにしてあげますからねっ。
茅子:そ、それはどうも…ありがとう…(あんまり意味わからないけど)だ、だから腕、はなして…ね?けっこう苦しいから…ね?
ラピス:うわ!?す、すみません。つい力が入ってしまって…
チャイム音:(ピンポ―ン)
茅子:あら、誰かしら…
沢木:こんにちはー、かやちゃん。
茅子:さ、沢木部長…
沢木:カギ、開いてたんで、勝手に入らせてもらったよ?
茅子:あ、不用心で…どうもすみません。
沢木:ふふ…謝らなくてもいいんだけど…ご奉仕したいという気があるなら、ぜひベッドの上で願いたいね…?
茅子:え、えええ!?
沢木:はは、冗談だよ!ところで、もしかして、忘れてるのかな?今日は夕方から僕らとライブに行く約束。迎えに来たんだけど?
茅子:は?私はたしか、経理課のヒカルさんと約束したはずなんですけど…
沢木:ああ、もちろん彼女もいるよ。連れと一緒に下で待ってる。あのライブはカップル限定なんでね。君が来てくれないと、僕は鑑賞できないんだよ…いいだろう?
茅子:は、はあ…
ナレ:ラピスが、耳元でささやく。
ラピス:あの人はだれですか?
茅子:会社の先輩だけど?…くっつかないで、見られたら恥ずかしいわ。
ラピス:大丈夫。他人には見えていません。会話も思うだけで解りますから、喋らなくていいですよ。
茅子:わ、わかった…
ラピス:それより今夜、出かけるのはかまいませんが、ぼくを連れて行って下さい。いいですね?
茅子:え?…あ、うん。
沢木:かやちゃん?さっきから誰と話してるの?僕は先に車に行ってるよ?
茅子:あ、はい!すみません何でもないです、すぐに用意します!
ナレ:シュルシュルと、羽根を持つ彼は、石におさまりながら言う。
ラピス:ぼくはここに居ます。何かあれば呼んで。
茅子:あの、あなたの名前、なんて呼べばいいの?
ラピス:あなたのお好きなように。
茅子:え、じゃあ…ラピスって呼ぶわ。
ラピス:わかりました。カヤナイト。
ナレ:イヤリングの奥で、彼の声はどこか嬉しそうだった。
続く→