のべる3
□詐欺師の恋模様
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「好きです!私と付き合ってくださいっ」
「…悪いんじゃけど、今、彼女つくる気ないから」
〜詐欺師の恋模様〜
「おーい、仁王。またコクられたんだろぃ!?で、返事は?」
校舎裏の木の下から教室に戻ると、丸井が早速話しかけてきよった。
「振った」
単刀直入に短く答えた。
「勿体ねぇなー。D組の子だろ?あの子、結構可愛いって有名だぜ」
「まぁ見た目は良かったんじゃけどな」
「何がいけねぇんだよ?」
じゃって…
「俺、ガキ嫌いじゃから」
そう言ったら、オメーもガキだろぃ!とつっこまれた。
「たくっ…詐欺師の考えなんてわかんねぇよ」
俺は仁王雅治。
呼び名は詐欺師。
コート上だけやなく、日常生活でも詐欺師と呼ばれちょる。
パッチンガムでクラスの奴ら驚かせたり、部活以外でもイリュージョン使って騙したりしとるからのう。
…やけど、恋愛方面でも詐欺師って呼ばれとるのはわからん。
噂によれば、勝手に心を奪っといて容赦なく振るからとか…。
なんて人聞き悪いんじゃ。奪った覚えないし、ちゃんと丁寧に断っとるっちゅーに。
だからタメは嫌なんじゃ。
ちょっと遊んだだけですぐ本気にするし、何かと面倒やし。