戦争の恋歌

□『戦争の恋歌』第二弾・中編
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「・・・好きなんだね」

久美子に冷やかされ

「ち、違う!
・・・でも、幼馴染みだから・・・心配じゃないと言えば嘘に・・・なる」

眉を顰める。

だって、これからどうなるのか・・・分からないから、辛い。

思わず遠い遠い記憶が蘇った。

まだ未就学年齢に満たしていない、今の弟くらいの年頃だった時

私と武人はまだ喧嘩をしていなかった。

よく仏桑華が咲いている野原で遊び、将来を語り合ったのを覚えている。

仏桑華とは、ハイビスカスの事。

『僕、大きくなったらユイをお嫁さんにする!』

『ほんとに?』

『うん!』

そう告げて、一輪の仏桑華を髪に飾ってくれた。

『綺麗・・・花嫁さんみたいだ』

『ありがとう、武人』

嗚呼、恥ずかしい・・・私だけだろうな、覚えてるの。

武人はきっと覚えていない。

そう思っていたけど、その答えは今晩明らかになった。
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