戦争の恋歌
□『戦争の恋歌』第二弾・後編
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婦長となった養護教諭の照屋先生を先頭に私達の活動は始まった。
荒々しいエンジン音と共にトラックが止まる。
雪崩の如く負傷兵が降り、私達は微動だにしないでいると
「ぼんやりするな、何しに来たんだお前達は!!」
戸惑いながら皆で看護に当たる。
しかし
「どうしよー、血が止まらない!」
どうにか止血を施した私の隣りで久美子が焦っていた。
ちらりと垣間見れば思った以上の出血をしている。
焦るのも無理は無い。
次の負傷兵の治療をしていた時には照屋先生が付いてくれたので何とかなった。
それでも仕事は続く。
久美子と一緒に手の施し様の無い程重傷を負って切断した手足を廃棄所へ捨てる。
胃から込み上げる嫌悪感に耐え兼ね
「う・・・ぷっ!」
久美子が吐き気を催す。
「大丈夫?」
私は背中を摩ると
「・・・平気よ、兵隊さん達は麻酔無しで手足を切られたんだもの」
健気に立ち上がった。
医療物資がまともに無いものから耐えなくてはならない場面も勿論有る。
初日からこんなんじゃ・・・この先やって行けるのか不安になった。