高潔な氷晶と病みし双色
□高潔な氷晶と病みし双色
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一瞬誰だ、こんな悪戯したのは...なんて考えたが、自分はシャーペンを持ったまま寝てしまった為に、落書きの原因が無意識に動いた自分の手の所為だと思い直す。
鎖夜はため息を吐き出し、ノートのミミズのような線を消した。
右手で消しカスを払い、先程の夢を思い出す。
鎖夜はそっと今は眼帯で隠れている臙脂色の瞳を眼帯の上から触れた。
あの時付けられた傷は痕も残らず綺麗に消えた。
ただ、あの時見た光景が鮮明に脳内に残っていて、 気分が悪くなった。
鎖夜が次の授業をサボろうと決め込んだ時、チャイムが鳴った。
鎖夜は携帯がポケットに入っているのを確認すると、そのまま屋上に向かった。
潔く散りゆく君、醜くしがみ付く俺
(狂気に染まった貴方は、光の無い眼で私を見つめるのですか?)
(恐怖に染まったお前は、怯えた眼で俺を見つめるのか?)
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