another恋愛ゲーム
□恋愛ゲーム
1ページ/2ページ
「雪樺ちゃん。」
名前を呼ばれ雪樺ちゃんは俺を見た。
『ああ、基山君。どうしたの?』
基山君、なんてよそよそしい。
俺は共犯者なんだから名前で呼んでくれたっていいのに。
「ヒロトって呼んでよ。」
俺は要件をそっちのけにして言った。
俺にとってはこっちの方が重要だしね。
『名前で呼び合って恋人気分を味わいたい?』
ゆっくりと焦らすように俺に近寄る雪樺ちゃん。
「うん。」
俺は素直に頷いた。
どうせ彼女に嘘や隠し事は無駄なんだから。
『ダメ、まだ早いわ。』
「じゃあせめて二人の時だけ。」
『ダーメ。もうちょっと待って。』
なんで?
二人の時なら問題ないじゃん。
『そう言えば、メアドとか交換してなかったからしよっか。』
雪樺ちゃんは携帯を取り出した。
俺も携帯をポケットから出し、電話番号とアドレスを交換した。
雪樺ちゃんは携帯の画面から俺に視線を向けた。
『それでさ、要件って名前で呼んでほしいじゃないでしょ?』
雪樺ちゃんは携帯をポケットにしまい込んだ。
.