another恋愛ゲーム
□恋愛ゲーム
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屋上の扉が開く音が聞こえた。
振り返ればヒロトがいた。
晴矢は一瞬嫌そうな顔をした。
「脅かすなよ、ヒロト。センコーかと思ったじゃんか。」
ヒロトは晴矢に近付きながらごめんと一言謝った。
心にも思ってない癖に一々腹が立つ。
ヒロトは晴矢の腕の中の雪樺に気がつくと雪樺の寝顔を覗きこんだ。
こいつには見せたくなかったが、もう手遅れだ。
「ヒロト、俺の幼馴染に手ェだしたらいくらお前でも許さねェから。」
晴矢は低い声で言った。
その瞳は嘘も偽りもなく。
本気だと見て取れた。
激昂ではない怒りがヒロトへと伝わる。
「別に晴矢の許可なんて必要ないよ。」
ヒロトは晴矢の声に怯みもせずに普段通りに言った。
『んっ、晴矢...?』
雪樺はゆっくりと体を起こし、晴矢をトロンとした瞳で見上げる。
『今、何時?』
彼女は少しぼーっとしながら口を開いた。
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