高潔な氷晶と病みし双色

□高潔な氷晶と病みし双色
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屋上の扉を開けて視界に広がった青に鎖夜は先程見た夢の所為で下がった気分を紛らわせた。



しかしそれも束の間。



「お前が華月鎖夜って奴か?」



声が聞こえた気がした。



周りを見回しても誰もいない。



よし、今度こそ幻聴だ。



そう喜んだら、背後に軽い音と声が聞こえて来て、一気に気分が沈んだ。



「後ろだ後ろ!」



言葉の通りに振り返れば目にも鮮やかな紅色が目に付いた。



なんと言うか...春先になると蝶々が飛んできそうな頭だ。



どうやら彼は貯水タンクのある少し高い所に登っていたらしい。



気の強そうな金色の瞳が鎖夜を見ていた。



「お前、風介とどこまでいったんだ?」



唐突で主語のない質問だった。



一瞬彼が言う風介が誰か分からなかったが、涼野風介だと理解した(なんで私は"風介"で直ぐに"涼野君"だと分かったんだろう?)



私は他人に興味など無く、名前と名字や顔が合ってなかった事などいつもの事なのに。









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