高潔な氷晶と病みし双色
□高潔な氷晶と病みし双色
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「何をしている、晴矢。」
その声はいつもより不機嫌そうだった。
「あ?別に何でもいいだろ?」
何だか険悪な雰囲気...。
ファーストネームで呼び合う程仲がいいんじゃないの?
『...えっと、南雲君?手、放して貰えないかな?』
鎖夜が控えめに言えば晴矢は何だか不機嫌そうな顔。
風介の眉間には三割程皺が増していた。
鎖夜の口から晴矢の名前が出たのが気に入らなかったのだろう。
鎖夜には何故彼らがそのような表情をするのか理解できなかった。
「悪りィ。」
ぱっと手を放され、重力に従いゆっくりと手を下ろした。
何だか気まずい空気。
風介は鎖夜と晴矢の近くまで来ると鎖夜の先程捕まれていた腕を掴み、来た道を戻ろうと爪先をドアに向けた。
しかしそれを阻むように晴矢は鎖夜の腕を掴んだ。
あれ?なんか状況悪化してる?
「オイ待て、風介。オレの話はまだ終わってねーぜ?」
晴矢はそう言ってグイッと鎖夜の腕を引いた。
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