高潔な氷晶と病みし双色
□高潔な氷晶と病みし双色
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鎖夜はチラチラの自分達が歩いてきた道を見た。
そんな鎖夜を見て風介は2階の差し掛かりで足を止めた。
風介はくるりと体の向きを変え、鎖夜を見た。
風介の錆浅葱色の瞳と鎖夜の瑠璃色の瞳の視線が交わる。
「そんなに晴矢が気になるか?」
鎖夜は何故そんなのにも風介が苛々しているのか分からなかった。
『何をそんなにイライラしてるの?』
「今質問しているのは私だっ!!」
少し強く言えば鎖夜は小さく身を震わせた。
鎖夜は普段あれだけ冷静沈着な彼でも声を荒げるんだなと、彼の人間らしいところを見つけた。
「怒鳴ってしまってすまない。」
風介は怯えさせてしまったと後悔した。
しばらくの沈黙。
どちらも口を開かず、静止していた。
「コラーっ!!」
気まずい雰囲気のなか、遠くから教師の怒声が聞こえてきた。
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