高潔な氷晶と病みし双色
□高潔な氷晶と病みし双色
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昼休み。
鎖夜は屋上ではなく、またいつもの校舎裏でもなく、体育館倉庫裏に来た。
目の前にいるのは基山ヒロト。
ここにいるのは彼に呼び出されたから。
彼は今朝痴漢から私を救ってくれた恩人だ。
「久しぶりだね、鎖夜ちゃん。」
そう言って愛想笑いをするヒロト。
『久しぶりって貴方とは今朝会ったばかりよ。それになんで私の名前知っているの?』
鎖夜の口からつらつらと紡がれる疑問。
今朝から痴漢に続きストーカーか?
「やだなぁ、鎖夜ちゃん。小学校の頃一緒だったじゃないか。」
ヒロトの言葉に鎖夜はキョトンとした。
そして小学校の頃に記憶を辿らした。
確かに彼とは小学校が一緒だった気がしないでもないが(だから見覚えのあるようなないような顔なんだと納得することにした)、思い出したくはない記憶が先に脳裏に過ぎり、完全に彼を思い出すのを諦めた。
気分が悪くなったからだ。
鎖夜は過去の記憶を思い出した事を後悔した。
結局彼を思い出すことは出来ないが、彼が私を知っている事だけは確かだった。
仮にその元知り合いな彼が何故うちの学校の制服を着て目の前にいる?
いや、この学校の生徒だから当たり前か。
それこそ最悪だ。
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