高潔な氷晶と病みし双色
□高潔な氷晶と病みし双色
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教室を見回し不意に風介は鎖夜がいない事に気付いた。
もう授業が始まると言うのに。
何かいやな予感がして風介は屋上に向かった。
入れ違いになったのだと思いたくて、思いっ切り屋上ドアを開けた。
腹が立つ程の青空があるばかりで人一人いなかった。
目的の人物も勿論いない。
風介は再び走り出した。
階段を一気に駆け降りる。
足音に気付いた教師の制止など今の彼には耳に入らない。
いつもと様子の違う風介に気付いたヒロトと晴矢が風介の後を追う。
「基山ー!南雲ー!お前ら何処へ行く気だーっ!?」
更に教師の怒声が廊下に響く。
「便所っす!!」
ヒロトは適当な言い訳を後ろで叫ぶ教師に返した。
「俺もっす!!」
晴矢も同じだと教師に返し、ヒロトと駆け出した。
ヒロトと晴矢が風介に追い付いた。
「風介!」
晴矢が風介を呼び止めれば、風介は驚いた顔で振り返り、静止した。
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