高潔な氷晶と病みし双色
□高潔な氷晶と病みし双色
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「瞳の色、」
鎖夜はその言葉にビクッと肩を揺らした。
『気持ち悪い、よね...、』
何処か怯え、諦めたような声色。
「いや、綺麗だ。」
『涼野君...。』
鎖夜の瑠璃と臙脂の瞳が揺れた。
疑いと不安と喜びを映していた。
「赤い過去も、瞳も...全部言いくるめて華月が好きだ。」
鎖夜は驚いた。
同時に困惑した。
どうしよう、信じても...いいのかな?
「華月は、私が嫌いか?」
風介の錆浅葱色の瞳を見れば、彼の瞳もまた不安気に揺れていた。
でも透き通る瞳に嘘は見いだせなかった。
ああ、彼も不安なんだ。
怖いんだ。
傷付くのが。
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