another恋愛ゲーム
□恋愛ゲーム
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「行くぞ、紅月。」
私は彼女の腕を掴み、人ごみに紛れた。
いつも晴矢が彼女を助けてくれるなんて確証はないのに、彼女が頼るのはいつも晴矢だ。
なんで私じゃないんだ。
確かに過ごした時間とかは晴矢の方が長い。
だけど彼女を理解してるのは私なんだっ!!
彼女の公式も、彼女の価値観も、理解してるのは晴矢じゃなくて私なんだ!
どうして私を頼らないんだっ!?
「晴矢じゃなくて、私を頼ってくれ...。」
小さく呟かれた風介の言葉は雪樺に届いていたが、雪樺は人ごみを理由に聞こえないフリをした。
風介は知らない。
自分が理解しているのは彼女の側面だけだと。
自分が彼女の本当の姿を知らないと。
彼女の姿が彼女にとっての"表"である事を。
知っていると思い込む氷の無知さ
(彼女の内側まで理解している筈なのに、)
(時々彼女が分らなくなる。)
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