短い文章
□ピアス
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京天京
BL
恋人同士
「剣城、どうしてもやらなきゃダメ…?」
天馬は5秒ほど前に聞いた事をもう一度聞く。
「ビビってんのかよ?」
「だって痛そうだろ!それに、…好きな人の体を傷付けるなんて…」
ドキリ、と心臓が強く脈打つ。
自分がこの行為に臆した訳ではない。
それとは全く違う。
不意打ちで好きな人だとか言われると凄く心が乱れる。
練習や試合において心の乱れは命取りだ(本当に死んでしまう訳でもないが、それほどまでに危険な行為だ)。
好きな人というところにはあえて触れない。
「自分じゃ見えねェから失敗すんだろ。一思いにやれよ、躊躇するとと貫通しないからな。そしたら塞がってからまたやらなきゃいけないんだぜ?」
「でも…やっぱ病院とか行った方がいいんじゃ、」
天馬の言う事はもっともだ。
病院でやってもらうのが一番安全だ。
だがピアスなんて病院行っても何科に行けばいいのか分からない。
皮膚科、耳鼻科…もしかしたら外科かもしれない。
「めんどくせェ。ほら、さっさとやれよ」
先程も念入りに消毒したのにも関わらず、再び針に消毒液で浸した綿で消毒した。
その行動からまだ迷いがあるのは明らかだった。
この勢いだと1週間くらい針を消毒液に漬けたいだとか言い出すかもしれない。
彼は俺の耳に触れ、ピアッサーを当てる。
何処に穴を開けていいか迷っているらしい。
時々針の部分が耳にチクチクと当たり、そこばゆい。
「穴は下の方だ」
ビクリと天馬の手が震えるのをなんとなく感じた。
震える、と言っても元から小刻みに震えていた。
緊張か、或いは2分40秒程手の位置をキープしているからか。
多分、優しい彼の事だから両方なんだろう。
「なんとかなるんだろ」
その言葉に天馬は頷いた。
「いくよ、3、2、」
2というのと同時に耳元でガシャンと音が鳴り、肩が震える。
それを痛みに耐えているのだと勘違いした彼は震える声で問う。
「い、痛かった!?」
「いや」
聞いた話では耳を貫通する音がブチッとすると聞いていたのだが、そんな音は聞こえなかった。
天馬の様子を見る限り、血は出ていないようだ。
血が出ていれば大丈夫かと必死になって心配するに決まっている。
起こりもしない行動が容易に想像出来たのは天馬のその単純さ故か、数か月という長くも短い練習の中で知った性格であるのか、松風天馬という存在に好意を持っている事が理由か。
天馬はピアッサーを持つ手をゆっくりと緩め、大きく息を吐いた。
未だに震えが収まらないその手を握ってやった。
その手が寒空の下晒した様に冷え切っていたのにとても緊張していた事が分かった。
「つ、剣城っ!?」
手の冷たさとは真逆に、天馬の頬が赤くなる。
こうやって俺から手を握るなんて数えられる程度だ(でもコイツなら100を超えても数えていそうだ)。
「んだよ」
「剣城が手握ってくれるの珍しいから…」
えへへ、と笑みを浮かべる天馬。
ホントコイツは嬉しそうな顔をする。
「ちょっとそういう気分になっただけだ」
多分俺はコイツのこういう所が好きなんだと思う。
ピアス
(もう片方もやれよ。)
(ええーーっ!?)
---------------- 8×キリトリセン ----------------
話の成り行きは安全ピンでピアスホール作ろうとした剣城を天馬が自傷行為をしようとしているのだと勘違いし止める。
実はピアスホール作りたいだけだったので仕方なくピアッサーを購入して二人でなんとかピアスを開ける事に…
みたいなのが萌える
実を言えば人にピアス開けて妄想してた
ピアスでもう一つ考えてるけど、なんだかね、やらせたい事があるけどその行為にこじつけるのが難しい…。
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