短い文章
□見捨てないで、お願い
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鬼道は俺の傍にあるパイプ椅子に座った。
暫くの沈黙の後に彼は再び口を開いた。
「気分は?」
俺は鬼道が俺を心配してくれているのを知っている。
そして求める答えも。
元気だとか適当に嘘を吐けばいい話だが、鬼道との付き合いは長い。
嘘なんて簡単にバレる。
彼は天才ゲームメーカーだから。
そして何より鬼道に嘘を吐きたくはなかった。
「まあまあだな」
「そうか」
また沈黙。
毎日謝罪の練習をしている。
今こそその練習の成果を果たす時ではないだろうか?
「鬼道、」
「佐久間、」
二人して同時にお互いの名前を呼び合うものだからおかしかった。
「何だ」
「鬼道こそ何だ」
鬼道は俺が譲ることを譲らない事を知っている。
悩んだ末に鬼道は気まずぞうに口を開いた。
「....真・帝国の時のことだが、」
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