高潔な氷晶と病みし双色

□高潔な氷晶と病みし双色
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成る程、確かに容姿は整っているかもしれない。



基本的に噂はあまり信じないが、確かに一般のそんじょそこらの男子に比べれば確かに整った容姿をしていると思う。



そんな事より彼はいつから目の前にいた...?



「何が...、」



風が吹き、風介の寝ぐせなのかよく分からない色素の薄い裏葉色の髪を風が揺らした。



『え?』



風の所為でよく聞き取れない。



「何が減らないのだ?」



一瞬風介が言った言葉が理解出来なかった。



理解出来た時には鎖夜の視線は自然と降下した。



鎖夜は彼に言う義務などないと思い込む事にして(事実彼とは無関係で、義務などないじゃないか)、失礼ながら黙り込んだ。



いつまでも沈黙し続ける鎖夜に風介は不機嫌そうな顔から呆れたような顔をし、溜め息を吐いた。



勿論鎖夜はうつむいている為、風介がそんな顔をしているとは知らない。



例え風介の顔を見たとしてもその顔をする理由は鎖夜には分からないだろう。



客観的に今の状況を見れば風介が鎖夜をいじめているように見えるかもしれない(ここに誰かが来るとは思えないが)。



校舎裏は滅多に人が来ない。



だからこそ鎖夜はこの場所に来たのだ。



それなのに目の前に涼野風介という人間がいる。



そもそも何故彼がこんな所にいるのか分からない。









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