高潔な氷晶と病みし双色
□高潔な氷晶と病みし双色
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気がした...気の所為だ。
鎖夜は更に無視を決め込む。
「聞いてるのか。」
目の前にいるのは昨日の転校生、涼野風介。
鎖夜はちらりと風介の顔を見た後、周りを見回してみる。
特に誰かいるわけではなかった。
つまり鎖夜に話し掛けていると言うことだ。
自分以外の誰かに言っているという儚い願いは無惨に砕け散った。
再び風介に顔を向ける。
『....もしかして、私ですか?』
「君以外に誰がいる?」
腕を組み、眉間に皺を寄せながら下ろしてくる風介を一瞥した。
『私の目に見えない何か?』
疑問系で返せば眉間の皺が濃くなった。
ああ、もしかしたら私、彼を困らせているのかも、なんて考えれば分かるような事を頭の隅で思った。
それだったら尚更都合がいい。
嫌いになれば...いや変に構われてもこっちが困る。
興味なくなればいいと思う。
そうすれば私はいつも通りに暮らせる。
だから、ワザと冷たく、皮肉的に言葉を音にする。
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