高潔な氷晶と病みし双色

□高潔な氷晶と病みし双色
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いつまで待っても口を開こうとしない鎖夜に風介はこれじゃ昨日と全く変わらないじゃないかなんて思った。



『貴方に教える義理合いはない。』



やっと口を開いたかと思えば否定的な返答だった。



鎖夜は弁当箱を鞄の中にしまい、飲み物を口に含んだ。



ちょっとキツい言い方だったかな?



でも、これでいいんだ。



罪悪感にいたたまれながら、自分に言い聞かせる。



『...でも、』



「?」



『名前なら教えてあげる。君とかおいとかで呼ばれるのは気分がいいものじゃないし。』



鎖夜は風介と目を合わせることなく、膝の上のパックジュースを見つめていた。



隣で風介が口角を上げた。



鎖夜がそれを見ることはなく。



『華月鎖夜。』



ただ一言、フルネームで名前を名乗った。



「華月...、」



風介は鎖夜の名字を反唱した。










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